雪で車がはまったら、アクセルを踏み続けず、前進と後退を小刻みに繰り返して前後に揺すります。出なければ、雪をどけてタイヤの下に板などをかませ、それでも出なければ、ロードサービスか知人に助けを頼みます。
雪道で動けなくなって、いまスマホで調べている方も多いと思います。また、初めての冬で、そうなったらどうしようと不安な方もいるはずです。
この記事では、次のことを整理します。
- はまったとき、最初の1分で何をするか
- やってはいけないこと
- どのタイヤに、何をかませるか
- 自分で出られないとき、誰を呼び、待つあいだに何に気をつけるか
最初の1分:安全を確保して、前後に揺する
まず、後ろから来る車に気づいてもらうために、ハザードランプを点けます。車の後方に三角表示板を置けるなら、置いてください。雪の中での作業は、周りの車から見えにくくなります。
車から降りて作業するときは、車道側に立たないようにします。

次に、前進と後退を小刻みに繰り返します。ゆっくり前に進み、少し戻る。これを何度か繰り返すと、タイヤのまわりの雪が踏み固められて、少しずつ動けるようになります。アクセルは強く踏み込まず、そっと踏むのが基本です。
やってはいけないのは、動かないのにアクセルを踏み続けることです。空転したタイヤは雪を掘るので、かえって深く沈みます。出ないと分かったら、いったんアクセルを戻して、次の手に移ってください。
出ないときは、雪をどけて、かませる
前後に揺すっても出ないときは、タイヤの前後の雪をスコップでかき出します。タイヤが路面に届く状態を作るのが目的です。スコップが無いときは、足でタイヤのまわりの雪を踏み固めるだけでも効きます。
そのうえで、動かすタイヤ(駆動輪)の下に、かませる物を入れます。かませる物は、次の5つです。
- ベニヤ板、木材(棒切れでもかまいません)
- 道ばたの砂箱の砂(板や木材が無いとき)
- 専用の脱出プレート
- 丈夫な布
- タイヤチェーン
札幌で中古車を販売している当店で、まず使うのはベニヤ板や木材です。
板や木材が無ければ、道ばたの砂箱の砂を入れます。砂箱の砂は、道路にまくための砂で、だれでも使えます。駆動輪のまわりに、穴を埋めるつもりで、たっぷり入れます。雪の上で空回りしているタイヤが、砂を噛んで回るようになります。
専用の脱出プレートは、空転している駆動輪と雪面の間に、進みたい方向から、タイヤの下の奥まで差し込みます。丈夫な布やタイヤチェーンは、空転しているタイヤの下に敷きます。
差し込んだ物は、発進のときに勢いよく飛び出すおそれがあります。車の前後に人がいないことを確かめてから、ゆっくり発進します。

どのタイヤの下に入れるかは、車の駆動の形で決まります。前のタイヤで引っ張る車(前輪駆動)は前のタイヤ、後ろのタイヤで押す車(後輪駆動)は後ろのタイヤです。四駆は、全部のタイヤの下に入れます。
自分の車の駆動の形が分からないときは、取扱説明書の諸元の欄で確かめます。中古車サイトやお店のホームページにある、その車の写真や値段が載ったページの、駆動方式の欄でも分かります。
空転を抑える仕掛けは、切ると出やすくなる
雪道で空転したタイヤを抑えて、車を安定させる仕掛けが、多くの車に付いています。トヨタの車では「TRC」、ホンダの車では「VSA」(その中のTCS機能が空転を抑えます)と呼びます。メーカーによって、呼び名が違います。
はまったときは、この仕掛けを切ると出やすくなります。切ると、低速で駆動輪が回りやすくなり、新雪やぬかるみから出やすくなるからです。
抜け出したら、スイッチをもう一度押して戻します。車によっては、エンジンをかけ直すと自動で戻ります。切ったままにすると、次に滑ったときに、車を安定させる働きが無いまま走ることになります。はまって動けないとき以外は、切らないでください。
自分の車の呼び名とスイッチの場所は、雪が降る前に、取扱説明書で確かめておきます。
はまりやすい場所
いちばんはまりやすいのは、車の通ったあとのわだちです。新雪や柔らかい雪の上なら、最初から警戒して走ります。わだちは、前の車が通れているので、つい油断します。ところが、わだちの中にも、はまりやすい所があります。気を抜いて走っていると、そこでタイヤが沈みます。
もう1つは、信号待ちなどで止まったとたんに沈む場面です。走っているうちは進めても、止まると雪に沈んで動けなくなります。行けると思って進んだ先で、そうなることがあります。
はまらないためには、急な発進や急ブレーキを避け、車間を広く取ります。四駆でも、雪が深い所で埋まると、出るのは厳しくなります。四駆だから安心とは考えず、同じように慎重に走ります。
自分で出られないとき:誰を呼ぶか、待つあいだに何をするか
自分で出られないときの頼み先は、ロードサービスか、近くにいる知人です。ロードサービスは、入っている自動車保険に付いている場合があります。まず保険の証券やアプリで、付いているかと連絡先を確かめます。JAFなどの会員制のサービスもあります。近くのガソリンスタンドが助けてくれたり、けん引ロープを貸してくれたりすることもあります。私たちの経験では、困っていると、周りの人が「引っ張ってみるかい」と声をかけてくれることがよくあります。こちらから声をかけても、助けてもらえることが多いです。
ロードサービスを呼ぶときは、いまいる場所の住所や、近くの交差点名、建物の名前を伝えられるように、スマホの地図アプリで確かめます。車の状態も、タイヤが空転しているのか、マフラーが雪に埋もれているのかを、簡単に説明できるようにします。
ただし、冬のロードサービスは、到着まで時間がかかることがあります。私たちの経験では、冬は救援を呼んでも、3時間ほど待つこともあります。待つあいだは、毛布や防寒着で体を温めます。
知人や周りの車に引っ張ってもらうときは、次の5つを守ります。
- 取扱説明書で、けん引用のフックの場所を確かめる
- 専用のけん引ロープを使い、フックに確実に取り付ける
- 引っ張る前に、運転する人どうしで合図を決める
- 車とロープのまわりに、人を立たせない
- ゆっくり力をかけて、急に引かない
待つあいだに一番気をつけたいのは、マフラーのまわりの雪です。マフラーが雪で埋もれると、排気ガスが車内に入り、一酸化炭素中毒の危険があります。一酸化炭素は無色無臭なので、気づきにくいのが怖いところです。
実験では、マフラーが雪に埋もれた車の中で、一酸化炭素が1分半たらずで警報の目安に届きました。だから、待つあいだはエンジンをかけたままにしません。どうしても暖房が要るときは、先にマフラーのまわりの雪をどけ、降雪中はこまめに埋まっていないかを見ます。

これから車を選ぶ方へ
これから車を選ぶなら、「四駆を買えば、はまらない」とは考えないでください。
四駆は、4つのタイヤ全部に動力を伝えられるので、雪道で動き出しやすく、二駆よりはまりにくい車です。ただ、深い雪に入れば、四駆でも埋まります。しかも四駆は、埋まると出すのが大変です。
はまるかどうかを分けるのは、車よりも走り方です。深い雪や、様子の分からない道に入っていかない。わだちでも気を抜かない。これは、四駆でも二駆でも同じです。
車を選ぶときは、「四駆なら安心」ではなく、自分がふだん走る道で考えます。二駆でも冬は乗れます。そのうえで、四駆で車高のある車は、冬に向いています。

北海道で4WDが要るかどうかは、次の記事にまとめています。

よくある質問
雪で車がはまったら、まず何をすればいいですか?
ハザードランプを点けてから、前進と後退を小刻みに繰り返して、車を前後に揺すります。アクセルは強く踏み込まず、そっと踏みます。
アクセルを踏み続けると、何が起きますか?
タイヤが空転して雪を掘るので、かえって深く沈みます。出ないと分かったら、アクセルを戻して次の手に移ってください。
かませる板が無いときは、何を使えばいいですか?
道ばたに砂箱があれば、その砂を駆動輪のまわりにたっぷり入れます。そのほかに、専用の脱出プレート、丈夫な布、タイヤチェーンが使えます。
まとめ:はまったら、揺すって、かませて、呼ぶ
雪で車がはまったら、アクセルを踏み続けず、前進と後退を小刻みに繰り返して前後に揺すります。出ないときは、雪をどけて、駆動輪の下に板などをかませます。
- やってはいけないのは、動かないのにアクセルを踏み続けること
- かませる所は、前輪駆動なら前、後輪駆動なら後ろ、四駆は全部のタイヤ
- 板や木材が無ければ、砂箱の砂をたっぷり入れる
- TRCやVSAのOFFは、動けないときだけ。抜け出したら元に戻す
- 自分で出られないときは、ロードサービスか知人を呼ぶ。待つあいだは、エンジンをかけたままにせず、マフラーのまわりの雪に注意する
当店では、冬の道の事情も相談しながら、車を選べます。ご相談をいただいてから車を探すことも多いので、「雪の多い所に住んでいる」「坂が多い」「冬道は初めて」といったことを、そのまま教えてください。
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参考にした資料
- トヨタ 取扱説明書(Yaris)「スタックしたときは」(2026-10-06確認)
- ホンダ 取扱説明書(フリード)「VSA(ビークルスタビリティアシスト)」(2026-10-06確認)
- JAF「雪道でスタックした場合、自力で動かす方法とは?」(2026-10-06確認)
- JAF Mate「なだれや大雪で車が埋もれたらどうなる? ガソリン車は一酸化炭素(CO)中毒の危険も」(2026-10-06確認)
- 札幌市「砂まき活動の紹介」(砂箱の砂の案内)(2026-10-06確認)


