中古車を見ていると、年式も走行距離も同じくらいなのに、値段だけが違う車に出会います。安いほうには理由があるはずですが、その理由が一覧の数字からは読み取れません。
価格差の理由は、表示に出るものと、現物を見ないと分からないものに分かれます。後者の代表がサビです。
この記事では、下回りのサビをどこでどう見るか、修復歴という表示をどう使うか、現車を見る日に何を確かめるかを、北海道で中古車を扱う立場から順に整理します。
走行距離と年式だけでは分からない中古車の状態
中古車のサビは、下回りに出ます。マフラーの取付部、足まわりの金属部品、ホイールハウスの奥——いずれも、走行距離や年式の表示には表れない場所です。
だから、数字が同じでも中身は揃いません。同じくらいの年式と走行距離の車が並んでいて値段が違うとき、その差は現物の側にあることが少なくありません。
中古車の情報は、比べやすいものから先に目に入ります。年式、走行距離、価格。この3つは一覧で並ぶので、つい判断の中心になります。
ただ、下回りがどう扱われてきたかは数字になりません。表示から読める情報と、現物を見ないと分からない情報は別のものだと分けて考えると、車選びの精度が上がります。
この記事が扱うのは、後者のほうです。数字の側をどう読むかは、別の記事にまとめました。

修復歴ありの車を検討するときの判断軸
修復歴のある車を候補に入れるかどうかは、有無だけでは決まりません。その一台が自分の予算と使い方に釣り合うかどうかで決まります。
前提をひとつだけ。修復歴の表示は、売り手の裁量で付け外しできるものではありません。自動車公正競争規約と、一般財団法人日本自動車査定協会が定める判断基準に沿って付けられます。
この表示が何を指しているのか、年式や記録簿とあわせてどう読むかは、別の記事で整理しました。

そのうえで、検討するときに見ておきたいのは、代表的には次の3つです。
- どの部位を直したのかを、書面で示してもらえるか
- 価格が下がっている理由の説明が付くか
- 自分がその車を、どのくらいの期間どう使うつもりか

部位が書面に残るという仕組み
修復歴がある中古車は、どの部位なのかを表示することになっています。購入者に渡される書面にも、その内容が残ります。
ですから、口頭の説明だけで終わらせる必要はありません。紙に残る情報は、家に帰ってから見返せます。その場で判断しきれなくても構わない、ということでもあります。
価格が下がっている理由の確かめ方
修復歴があると、価格に反映されます。ただし、安い理由が修復歴だけとは限りません。走行距離、装備、下回りの状態、複数が重なっていることもあります。
逆に言えば、安さの理由をひとつずつ説明してもらえる車は、判断しやすい車です。理由が並ぶほど、自分にとって許せる項目と許せない項目が分かれてきます。
なお、修復歴車は扱わないと表示しておきながら修復歴車を販売するような表示は、不当表示として禁じられています。表示が守られる前提があるからこそ、表示と現車を突き合わせる作業に意味が出てきます。
どのくらいの期間、どう使うつもりか
同じ車でも、乗る期間によって重く見る項目が変わります。短い期間で乗り換える前提なら、今の状態と価格の釣り合いが判断の中心になります。
長く乗るつもりなら、話が変わります。修復歴の表示よりも、これから進んでいく下回りの状態のほうが効いてきます。次の章はそちらの話です。
下回りのサビを見る観点|融雪剤と、その一台の使われ方
サビの出方は、地域ではなくその一台がどう使われてきたかで変わります。ここを取り違えると、車選びの範囲を自分で狭めることになります。

冬の道路には、凍結を抑えるための薬剤がまかれます。北海道開発局は、塩化ナトリウムと塩化カルシウムの混合物などを、坂やカーブ、橋の上など凍りやすい場所を中心に散布していることを公表しています。防錆剤を混ぜたものが使われることもあります。
では、それに触れた車は錆びるのか。国土交通省は、融雪剤(同省の説明では「凍結防止剤」)の主な成分である塩化ナトリウムや塩化カルシウムが自動車などの金属を腐食させるかどうかは濃度によるため、一概には判断できないと説明しています。
つまり、北海道の車だから錆びている、本州の車だから安心、というのはどちらも決めつけです。見るべきなのは、目の前の一台です。
同じ年に同じ街で登録された車が2台あっても、片方は下回りがきれいで、もう片方は赤茶けている。そういうことが起きます。分かれ目は、屋根の下に置かれていたか、冬のあいだに洗われていたか、といった日々の扱いのほうにあります。
見る場所と、見えたものの意味
下回りは、購入前にご自身でリフトに上げて見るのが難しい場所です。それでも、しゃがんで覗くだけで分かることがあります。
| 見る場所 | どう見えるか | 自分で確かめる方法 |
|---|---|---|
| 排気系の継ぎ目と、吊っているゴムのあたり | 表面が赤茶色に変わっている/穴が開いて縁がめくれている | 後ろからしゃがんで覗く。エンジンをかけて、音が普段と違わないか聞く |
| 車体の縁を折り返してある部分(ドアの下端など) | 塗装が浮いて、内側から膨らんでいる | 指の腹でなぞって、ざらつきや段差があるか確かめる |
| タイヤを切ったときに見えるホイールハウスの奥 | 泥や砂が固まったまま残っている | ハンドルをいっぱいに切り、明かりを当てて奥まで見る |
| 下回り全体の塗膜 | 黒い塗りが均一か、部分的に厚みが違うか | 塗った跡があるなら、いつ誰が施工したのかを聞く |
表面が赤茶色になっているだけの状態と、穴が開いて縁がめくれている状態では、意味が違います。前者は表面の変色にとどまることがありますが、後者はその部品そのものの強度に関わります。
販売店への写真の頼み方
見えない箇所は、聞くしかありません。ただ「下回りはどうですか」と聞くと、たいてい「大丈夫ですよ」で会話が終わります。
頼み方を具体的にすると、返ってくる情報が変わります。
- リフトに上げた状態の写真があるか
- その写真はいつ撮ったものか
- 気になる場所を指定して、そこを撮り直してもらえるか
撮り直しを頼めるかどうかは、遠方から探している場合ほど効いてきます。現車を見に行く回数が限られるぶん、写真が判断の材料そのものになるためです。
道外から来た車の見方|産地より、置かれ方と洗われ方
中古車は地域をまたいで流通します。雪の少ない地域で乗られてきた車は、融雪剤に触れた回数が少ない場合があります。
ただ、産地は候補を絞る手がかりにはなっても、答えにはなりません。雪が降らない地域でも、海沿いで潮風にさらされていた車はあります。屋外に置かれっぱなしだった車もあります。
聞いておきたいのは地域名よりも、前の使用者の使い方です。屋根のある場所に置かれていたか、冬に下回りを洗う習慣があったか。分かる範囲だけでも聞いておくと、写真に写った下回りの状態の理由が分かります。
なお、寒冷地向けの装備が付いているかどうかは、サビとは別の話です。装備の欄で確認できるので、車の状態とは分けて見てください。
サビが進んだ車で、あとから起きること
サビは、見た目の問題として片づけられないことがあります。マフラーの取付部や、ブレーキまわりの金属部品のように、進行すると強度や機能に関わる場所があるためです。
定期点検や車検の場面で、こうした部品の状態が問題になることがあります。交換や修理が必要と判断されれば、その費用があとから必要になります。
金額は状態と車種で大きく変わるため、ここでは書きません。ただ、車両価格が安かった差額が、そのまま手元に残るとは限らないという見方は持っておいてください。
もうひとつ、手放すときの評価にも関わります。買うときに安く見えた理由は、売るときにも同じように働きます。
現車を見るときの確認リスト
現車を見る日に確かめることは、表示・現物・質問の3つに分かれます。車そのものだけを見て帰らないのが、あとで食い違わないコツです。
表示で確かめること
展示車の表示には、車の中身に関することと、取引の条件に関することが並んでいます。この2つを分けて見ておくと、話が混ざりません。
車の中身について、目を通しておきたいのは次のようなことです。
- 初度登録の年月
- 走行距離
- 修復歴の有無
- 前の使用者の点検整備記録簿があるかどうか など
取引の条件については、こちらです。
- 整備をしてから引き渡されるのかどうか
- 保証が付くのかどうか など
この2つは別の話です。車の状態が良いことと、整備や保証が付くことは、同じではありません。お店によって扱いが違うので、どちらも確かめておいてください。
表示のもうひとつの柱が価格です。支払総額と諸費用の内訳は、別の記事にまとめました。

自分の目で確かめること
座って、触って、エンジンをかける。可能なら走らせてみる。自動車公正取引協議会が出している中古車の買い方の案内も、そこまで具体的に勧めています。
下回りは、明るい場所で見せてもらえるか聞いてみてください。屋内の奥や夕方の屋外では、色の違いが分かりにくいことがあります。
お店に聞くこと
その場で見られない箇所は、質問で埋めます。たとえば、次のような点です。
- 下回りの写真を、リフトに上げた状態で見せてもらえるか
- 修復歴がある場合、どの部位なのかを書面で示してもらえるか
- 前の使用者の使い方や置き場所について、分かっていることはあるか
答えられないことがあっても、それ自体は不自然ではありません。分からないことを分からないと言ってもらえるほうが、あとで食い違いません。
ジャパン合同会社では、在庫にない車をお探しすることもあります。状態の見方に迷う場合は、車を決めたあとではなく、探す段階からご相談いただけます。
よくある質問
中古車のサビはどこを見ればいいですか?
下回りです。マフラーの取付部、足まわりの金属部品、ホイールハウスの奥など、路面に近くて目の届きにくい場所に出ます。購入前にご自身でリフトに上げるのは難しいため、写真をどこまで用意してもらえるかが実際の判断材料になります。
修復歴のある中古車はやめたほうがいいですか?
一律には決まりません。修復歴があること自体より、その一台が自分の予算と使い方に釣り合うかで決まります。修復歴がある場合は部位が表示され、その書面は購入者にも交付されます。納得できるまで説明を求めてください。
北海道の中古車はサビやすいと聞きますが、本当ですか?
地域だけでは決まりません。国土交通省は、融雪剤の主な成分が自動車などの金属を腐食させるかどうかは濃度によるため、一概には判断できないと説明しています。地域が同じでも、置かれ方や洗われ方によって下回りの状態は分かれます。
サビと修復歴で見るべきことのまとめ
中古車の当たり外れは、数字で比べられる項目の外側にあります。この記事で見てきたことを、最後に並べておきます。
- サビは下回りに出る。走行距離や年式の表示には表れない
- 融雪剤に触れた車が錆びるかどうかは一概には判断できない。地域ではなく一台ごとに見る
- 修復歴は決められた基準による表示。有無だけでなく、部位と価格の理由を書面で確かめる
- 見えない場所は、写真の頼み方を具体的にすると返ってくる情報が変わる
予算の枠と使い方が先に決まっていると、状態の判断はぐっと楽になります。どちらから手を付けるか迷う段階でも、ご相談いただけます。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものです。車両の状態の判断は現車ごとに異なります。
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