自社ローンの車は誰の名義か|所有権留保の仕組みと完済後の手続き

自社ローンの車は誰の名義か|所有権留保の仕組みと完済後の手続き 自社ローン・車のローン

自社ローンで車を買ったあと、車検証を開いて「所有者」の欄に販売店の名前が入っていることに気づく方がいます。契約する前の段階で、「支払っている間、この車は誰のものになるのか」と迷う方もいます。

この記事では、分割払いで車を買ったときの所有権の扱いを、支払い中と完済後の順に整理します。車検証の2つの欄の役割、支払い中に自分だけでは決められないこと、支払いを終えたあとの名義変更を、普通車と軽自動車に分けて説明します。

いま支払いの途中で名義が気になっている方と、契約する前に仕組みを知っておきたい方に向けた内容です。

支払い中の車の所有者と、完済後に必要な手続き

先に結論をお伝えします。分割払いで車を買った場合、支払いが終わるまでの間、車検証の「所有者」欄には販売店やローン会社の名前が入ります。実際に運転する人の名前は「使用者」欄に入ります。

ここで読み違えられやすいのが、税金の扱いです。所有者欄が販売店の名義であっても、自動車税・軽自動車税を納めるのは買った側になります。

そして支払いを終えても、名義は自動では移りません。所有者を自分に変える申請が別に必要で、その期限は法律で決められています。

この記事で扱うのは、次の3点です。

  • 支払い中の所有者は誰か……車検証の「所有者」欄と「使用者」欄の役割
  • 支払い中に自分だけでは決められないこと……売却・譲渡・車に手を入れること
  • 完済後の名義変更……普通車と軽自動車で手続きの名前も窓口も違う

所有権留保という仕組み

分割払いで車を売るとき、売った側が支払いの終わりまで車の所有権を手元に残しておくことがあります。これを所有権留保と呼びます。支払いが滞ったときに車を引き上げられるようにしておく、担保のような役割です。

ここから先は、自社ローンに限らず分割払い全般で見られる一般的な取り扱いの説明です。個々の契約でどう定めるかは販売店ごとに違うため、最終的には手元の契約書と車検証で確かめてください。

車検証を開くと、「所有者」と「使用者」という2つの欄が並んでいます。それぞれ意味するものが違います。

  • 所有者……その車の権利を持つ側。支払いの途中は販売店やローン会社の名前が入ります
  • 使用者……その車を実際に使う側。買った本人の名前が入ります

欄が2つに分かれているのは、「権利を持つ側」と「使う側」が同じとは限らないためです。名義が自分でないからといって、車に乗れないわけではありません。通勤にも買い物にも、これまでどおり使えます。

なお、ICタグが付いた様式の車検証は、所有者の氏名・住所が券面に載りません。券面を見ても所有者が分からないときは、車検証閲覧アプリで読み取ります。

名義は販売店側、税金は買った側という関係

この記事でいちばん押さえてほしいのがここです。所有権が販売店側に残っていても、毎年の自動車税・軽自動車税は買った側に課されます。

地方税法は、売買契約で売主が自動車の所有権を留保している場合、買主を所有者とみなして自動車税を課すと定めています(第147条)。軽自動車税についても、同じ考え方の規定が置かれています(第444条)。

つまり、車検証の名義は販売店側にあるのに、納税通知書は自分のところへ届き、納めるのも自分だ、ということになります。

買う側からすると不利に感じる点かもしれません。ただ、ここを知らずに契約すると、支払いが始まったあとの資金繰りを見誤ります。車の支払いとは別に、毎年の税金が必要になると考えて予算を組んでください。

名義の扱いのほかにも、契約する前に見ておいたほうがよい点があります。全体像は別の記事にまとめています。

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支払い中に自分だけでは決められないこと

支払いが終わるまでの間は、車を売る、人に譲る、名義を変えるといった所有権に関わることを、自分だけでは決められません。権利を持っている側が自分ではないためです。

支払い中の売却・譲渡

車を手放すときは、所有者が手続きに関わります。所有権が留保されている車では、残っている支払いを清算し、所有権を解除してもらってから売るのが通常の流れです。

「いまの車を売って、その代金を次の車に充てたい」と考える場合も、手続きは残りの支払いの清算から始まります。売れるかどうかより先に、残りの支払いをどう処理するかが決まらないと話が進みません。

乗り換えを考え始めたら、査定に出すより前に、残りの支払いがいくらでどう清算するのかを販売店に確かめてください。順番を逆にすると、話がまとまってから止まります。

契約書で確認しておく項目

車に手を入れる場合も、どこまでできるかは契約書の定めによります。外装や内装を変える、パーツを付けるといった作業が、車の状態や名義に関わることがあるためです。

作業を始める前に契約書を読み、判断がつかなければ販売店へ問い合わせてください。元に戻せない作業もあります。

契約書と、契約前のやり取りで確かめておきたいのは、次の4点です。

  • 車検証の「所有者」「使用者」に、それぞれ誰の名前が入るか
  • 支払いを終えたあと、所有者を移す手続きを誰が行うか
  • 支払いの途中で車を手放したくなった場合、どう進めるか
  • 車に手を入れてよい範囲

口頭で聞いた内容は数年後には残りません。書面で受け取っておくと、完済が近づいたときにそのまま読み返せます。

また、支払いが続いている間の担保として、エンジンの始動を制御する装置を取り付ける販売店もあります。通常どおり支払っていれば作動しないものですが、何のために付けられ、どんなときに作動する装置なのかは知っておいたほうが安心です。

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支払いを終えたあとの名義変更の進め方

支払いを終えても、名義は自動的には移りません。所有者を自分に変える申請を、期限内に行う必要があります。そして普通車と軽自動車では、手続きの名前も窓口も違います。

先に全体像を並べます。

普通車軽自動車
手続きの名前移転登録自動車検査証記録事項の変更
窓口運輸支局軽自動車検査協会
期限15日以内15日以内
申請する人新しい所有者使用者
窓口に納める手数料かかります(額は公式サイトで確認)無料
普通車と軽自動車で、手続きの名前・窓口・申請する人が分かれます。窓口に納める手数料とは別に、ナンバープレート代や書類の取得費用がかかる場合があります

期限の15日は、所有権が移った日から数えます。ただし実際には、販売店やローン会社から所有権を解除する書類が届いてからでないと申請できません。完済したその日に窓口へ行けるわけではない、ということです。

完済の連絡をするときに、書類がいつ頃届くのかを聞いておくと、窓口へ行く予定が立てやすくなります。

この期限は、道路運送車両法で定められています(普通車は第13条第1項、軽自動車は第67条第1項)。守らなかった場合の罰則も同じ法律に定められているため、書類が届いたら早めに進めてください。

普通車の移転登録

普通車は、運輸支局で移転登録という手続きを行います。申請するのは新しい所有者、つまり買った本人です。

普通車には登録の手数料がかかります。額は改定されることがあるため、最新のものは公式サイトで確認してください。手続きの流れと必要なものは、国土交通省の自動車登録ポータルにまとまっています。

軽自動車の自動車検査証記録事項の変更

軽自動車は、軽自動車検査協会で自動車検査証記録事項の変更という手続きを行います。申請するのは使用者です。運輸支局ではないので、間違えないようにしてください。

軽自動車検査協会に納める申請手数料は、無料です。ただし、ナンバープレートの交付や書類の取得など、手続きに付随して別途費用が生じる場合があります。

窓口の案内と必要なものは、軽自動車検査協会「名義変更(売買・譲渡・その他)」のページで確認できます。

自分で手続きするか、販売店に任せるか

名義変更は、自分で窓口へ行って行うこともできますし、販売店や行政書士に任せることもできます。

自分で行う場合は、平日の日中に窓口へ出向く時間が必要です。任せる場合は代行の費用がかかります。どちらを選ぶかは、平日に動けるかどうかで決まることが多いところです。

完済が近づいたら、手続きを誰が行うのかを販売店に確認しておいてください。任せられる場合と自分で行う場合とで、そろえるものが変わります。

そろえる書類は、普通車と軽自動車で異なります。何が必要になるかは別の記事に一覧でまとめています。

完済後の名義変更の進み方(完済→書類到着→手続き)
完済してから名義が変わるまでの流れ

名義について確認するタイミングと相手

名義の話を確かめるタイミングは、契約する前と、完済が近づいたときの2回で足ります。相手はどちらも、車を買った販売店です。

契約する前に聞いておきたいのは、車検証の所有者にどこの名前が入るのか、支払いを終えたあとの手続きは誰が行うのかの2つです。この段階で書面に残しておけば、数年後にそのまま使えます。

完済が近づいたら、所有権を解除する書類がいつ届くのか、届いたあと自分は何をすればよいのかを確かめます。ここまで押さえておけば、名義のことで慌てる場面はほとんどありません。

ジャパン合同会社では、ご契約の前に名義の扱いをご説明しています。分からないところがあれば、契約する前の段階でお尋ねください。

自分たちの車に乗る家族
名義の扱いは、契約する前の段階でお尋ねいただけます

よくある質問

自社ローンで支払い中の車を、途中で売ることはできますか?

自分だけでは決められません。所有権が販売店やローン会社に留保されている場合、残っている支払いを清算し、所有権を解除してもらうことが前提になります。手放すことを考え始めた時点で、まず販売店に残りの支払いの状況を確かめてください。

車検証の所有者が販売店になっている場合、自動車税は誰が納めますか?

買った側が納めます。地方税法は、売主が所有権を留保している場合に買主を所有者とみなして自動車税・軽自動車税を課すと定めています(第147条・第444条)。納税通知書も買った側に届きます。

完済したあと、名義変更をしないままにするとどうなりますか?

期限と罰則が法律で定められています。普通車は移転登録、軽自動車は自動車検査証記録事項の変更を、所有権が移った日から15日以内に行うよう道路運送車両法が定めています。所有権を解除する書類が届いたら、早めに手続きしてください。

まとめ|自社ローンの車の名義と、完済後の手続き

所有権が販売店側にある間も税を納めるのは買った側で、完済後の名義変更も自動では進みません。要点は次の4点です。

  • 支払い中の車検証の「所有者」欄には、販売店やローン会社の名前が入る(所有権留保)
  • 所有者が販売店側であっても、自動車税・軽自動車税は買った側に課される
  • 支払い中は、売却・譲渡・車に手を入れることを自分だけでは決められない
  • 完済しても名義は自動では移らない。普通車は移転登録、軽自動車は自動車検査証記録事項の変更を15日以内に行う

名義の手続きは、契約する前と、完済が近づいたときに確かめておけば足ります。仕組みを知っていれば、車検証の所有者欄に販売店の名前が入っていても戸惑うことはありません。

名義や手続きの流れまで含めて確認したうえで決めたい方も、契約できるか分からない段階からご相談いただけます。現在の収入や支払可能額を確認したうえでご提案します。

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